連年贈与
先日、事務所内でふとした事からこの問題が出てきました。
連年贈与。
現在の規定では毎年110万円以内の贈与に関して贈与税がかかりません。では毎年100万円を10年間渡すとどうなるのかご存知ですか?
これが「連年贈与」と呼ばれています。
国税庁ホームページ、タックスアンサーによると…
<質問>
親から毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受ける場合には、各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下ですので、贈与税がかからないことになりますか?
<回答>
各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので申告は必要ありません。
ただし、10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束した年に、定期金に関する権利(10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかりますので申告が必要です。
となっています。
そもそも定期金って考え方は何処に有るのか?って話ですが、民法689条に「終身定期金」の規定については記載されています。ここから考えると終身定期金とは他人に死亡するまでの期間、お金を渡す事になります。つまり定期金は他人にお金を渡す行為の事を言います。
また、これを受けて基本通達によると「『定期金給付契約に関する権利』とは、契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権をいい、毎期に受ける支分債権では無く、基本債権をいうのであるから留意する。」とされています。
勿論、相続税法上の評価でも終身定期金に関する権利の評価は有ります。
そうなると上記の事と合わせて考えると10年間では無く、自分が死亡するまで毎年100万円贈与する事は「終身定期金に関する権利の評価」と言う話になってきて、贈与時に受贈した人は贈与税を支払う必要が有ります。
ただ、これにも様々な考え方が有ります。最初から10年間100万円と決めていたので有れば、タックスアンサー通りの評価となりますが、何も決めて無いが贈与していくと毎年たまたま基礎控除以下になったので有れば、その贈与契約が有効で有る限りは上記に当てはまらないとも考えられます。
また、ここで問題が残るのが十数年同額で贈与をしていたけども、税務署から「初めてこのタックスアンサーの事を言われた」と言う時です。
何が問題かというと贈与時に評価で申告ですよね。時効にならないのかどうかと言う事です。現在の通則法の規定では原則として5年、不正等疑われる場合は7年で時効にかかると言う規定になっています。そこが非常に問題が大きい所になると考えられます。
今日は久しぶりに珍しく理論的な事も書いてみました。
様々な考え方が有ります。非常に難しいところでも有りますので、判断しかねる際は顧問税理士又は税務署にご相談下さい。
ではでは。
大阪市西区の税理士・FP事務所、門田会計事務所。
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