割引手形について

こんばんは。大阪市西区の税理士事務所、門田会計事務所です。

先日簿記講師をしていて「手形割り引いた時の差額って『支払利息』はダメなのですか?」と聞かれまして、「うーん。なるべくしない方が良い。」と答えました。

なんとなくで答えた(手形売却損や割引料と言う発想から支払利息と言う概念が無かったので)のですが、本日事務所にて他の所員とその話をすると、「えっ。別に良いんじゃない?」と言う意見も出て、自分自身も「支払利息」が使えるか使えないかどちらか分からなくなり、今日かなりの時間をかけて調べました。

実は私が簿記をやった時は「手形売却損」と言う勘定科目を使っていましたが、今簿記を教えるのに使っているテキストが「利子割引料」と書いています。

何の疑いも無くこれを使っていました。

それでレジュメを作り、配っていたのですが今回ホームページに公開するにあたり疑問に出てきた部分は修正する事にしています(授業では前のまま使っています)。

で・・・

分かった事ですが・・・・

商法上(授業では会社法上と言っていましたが、それすら間違ってました)の法的性質については2つの考え方が有ります。

「手形の売買契約」と「手形貸付の様な消費貸借契約」

前の考え方を取ると「手形売却損」と言う勘定科目を使い、後の考え方を取ると「利子割引料」と言う考え方に辿り着きます。

昔は「利子割引料」を使っていました。今は「手形売却損」を使う様になっています。あ、ちなみに消費税は非課税(取立の手数料を除く)。

なぜそうなったのか??

と言うのが今度は問題になってきます。

それは平成13年の「金融商品会計に関する実務指針」の中でそう決めたからなのです(法律上では有りません(講義では法律上と言ってしまいました))。

でもそしたら、なぜそう決めたのか?

と言う話になります。

学説や判例(例えば昭和37年2月28日大阪高裁)が、手形割引が手形の売買を本質にしていると言っているからなのです。

だからと言ってそれでも、もしかしたら消費貸借と言う考え方が通るのでは無いかと、つい最近争われた事例も見付かりました。

国税不服審判所の平成19年1月31日の裁決事例ですが・・・

結論を申し上げますと、その実務指針等の主張が通り、納税者の主張(消費貸借と言う考え方)が通らず、税務署側の主張(売買と言う考え方)が通っています。

ここでは納税者は銀行(受取手形を割り引く側)が消費貸借の様に「貸付金」と「受取利息」で処理する為「消費貸借」で有ると言う違った観点からも、主張をしています(実際にこの処理自体は確か別に問題は無い(手形売却益にしなくても良い)ハズですが、少しこれについては自信無いのでまた、これは後日訂正する可能性有りです)。

ただ、この主張に対しては全国銀行協会連合会の銀行取引約定書の雛形の第6条が手形の売買を前提とした規程で有り、銀行側も売買としても理解していると判断されています。

つまり・・・・

まとめますと・・・・

手形割引については法的性質が「手形の売買」が有力で、会計上もそれに合わせて「手形売却損」としていると言う事で、「手形売却損」が正しいです(レジュメもそれに合わせて直しました)。

ちなみに消費税については非課税と言いましたが、実はどっちの説を取っても非課税は変わりないのです。

例えば「手形の売買」ですと「債権の譲渡」になりますので、消費税法第6条とその別表1の2及び消費税法施行令第9条4項により非課税となります。

また「消費貸借」と考えると、消費税法第6条とその別表1の3により非課税となります。

なので消費税は関係無いのですが、会計上の問題としては結構大変な問題でした。

長々と書いてしまいましたが、結論だけ今度の授業の時には言おうと思っております。

では失礼します。

簿記

前の記事

簿記講師2