課税ベースの拡大(個別論点)

おはようございます。大阪市西区の税理士・FP(ファイナンシャルプランナー)事務所、門田会計事務所です。

水曜日に以下の要件で課税ベースの見直し案が出ていると言うブログを書きました。これを今日は少し気になる部分について、ピックアップしていきたいと思います。

○ 減価償却の見直し…償却費の方式を定額法に一本化し初期財源を確保

○ 中小企業支援税制の見直し…法人税率を低く抑えている特例措置の適用範囲の縮小

○ 欠損金の繰越控除の縮小…赤字の繰越期間を現行9年から縮め、限度額を所得の8割から下げる

○ 配当金の益金不算入の縮小…資産運用目的の株式保有は益金算入し、企業に税負担

○ 外形標準課税の見直し(この前書きました)…黒字企業に対する減税を強化する一方、赤字企業は増税に

○ 公益法人課税の見直し…法人税率を低く抑えている特例措置の適用範囲の縮小など

○ 研究開発減税の縮小…平均売上高に占める10%を超える研究開発費減税を縮小

まず全体的にみて、租税の「簡素化」と言う面では非常に良いかと思われます。租税は原則として「公平・中立・簡素」が求められているので、この点の一番最後の簡素の部分については、この租税特別措置を中心とした簡素化は非常に良いと思います。

また、個別に見ていくと最初の「減価償却の見直し」はビックリです。会計で考えると出てこない発想ですが、こういうこともあるかも知れないですね。

一番気になるのは次の「中小企業支援税制の見直し」です。私達の業界が一番関わっている部分でも有るからです。現在の軽減税率が無くなって、税率を一本化するかもしれないですね。ただ、税率が下がるのでその点は問題無いかと思われますが、中小企業は大企業と比べて担税力(税を負担する能力)が低い為、どこかで大企業と中小企業に差を設けないと「公平」と言う観点では税制を歪めてしまう問題が発生するかもしれません。この点でどう整備されていくか気になるところです。

次に気になるのが「欠損金の繰越控除の縮小」です。あまり縮小の幅を大きくすると「所得が出ている時は税金を多くとって、所得が無い時に何の補填も無い」と言う不満が出てくることも考えられます。企業は人為的に1年以内で決算がくる様にしているだけで、実際はずっと継続して経営しています(これをゴーイングコンサーン(going concern)と言います)。この人為的に区切ったことにより、税金の負担が変わるのがおかしいと言う発想にもなりかねないのです。ですので、ある程度の繰越控除や繰戻し還付は必要かと考えることも出来るのです。

最後に少しだけ気になるのは下から2番目の「公益法人課税の見直し」です。認定NPO法人がこれについてかなりの異議を唱えている様です。認定NPOについては、寄付の部分でかなり優遇されています。これについてもう一度見直す必要が有ると2014年度の税制改正大綱で出ていましたが、今回はこの点も含め全てにおいてゼロベースで見直すと言う事が出されました。この辺も今後どうなっていくのか見て行きたい論点になります。

今日は少し長くなりましたが、この辺で。

ではでは。

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