税制改正(その1)。
大阪市西区の税理士・FP事務所、門田会計事務所です。
今回は今年3月30日に通過した税制改正について少し書きたいと思います。
法人税はあまり変わりませんが、相続税や所得税が少し変わっております。
その中でも所得税の改正で主なモノを今回紹介します。
尚、この制度は平成25年分から適用されます。
それは・・・・給与所得です。
給与所得控除が変わります。大きく変わります。
給与所得の計算は「給与収入-給与所得控除=給与所得」となっています。
給与所得控除最低金額は65万円です。
ですので、給与の場合、所得控除の基礎控除の38万円と合わせて「65万円+38万円=103万円」までは所得税はかかりません(住民税はかかります)。これは有名な話ですね。
問題はこの給与所得控除なんです。今までは給与がいくら有っても収入の5%は最低でも給与所得控除が有りました。極端に言うと1億円の給与所得控除は「1億円×5%+170万円」でした。
これが上限が出来たのです。
上限が245万円になりました。計算上給与収入が1500万円を超えた人については、全て245万円です。
つまり1億円の人でも給与所得控除は245万円となります。
これが大きく変わった一つ目です。
ただし、これに加えて給与についてはもう一つ改正が有りました。
それは所得税法57条の2「特定支出控除」です。
特定支出控除とは・・・・分かりやすく言うと「必要経費」です。つまりその会社に通う交通費とか研修費などが当てはまります。
給与所得控除は「概算経費」なんです。
この特定支出控除が給与所得控除を超えた場合、使えていました。ただし、なかなかこの特定支出控除が給与所得控除を超える事が無かったのです。実際使っている人は少なかったと聞いています。
この制度を使うと「給与収入-給与所得控除-特定支出(給与所得控除を超えた金額)=給与所得」となります。
これが、計算方法の見直し及び範囲が拡大したので、使える制度になったかもしれません。
給与所得控除の2分の1を超えれば使える様になりました(給与収入が1,500万円超の人は125万円を超えた金額)。
また、士業等の資格取得費や交際費や書籍代等の必要経費(65万円が限度)が含まれました。
ただ、これを使う為には確定申告が必要で尚且つ証明書の添付又は提示が必要なので、年末調整ではこの制度を利用出来ませんので、注意してください。
新しい制度を使うと「給与収入-給与所得控除-特定支出(給与所得控除の1/2を超えた金額(給与収入が1,500万円超の人は125万円を超えた金額))=給与所得」となります。
次に退職所得が変わりました。
通常退職所得は「(退職手当等-退職所得控除)×1/2」となります。
ただ、法人の役員や議員や公務員で、勤務年数が短い人(5年以下)は「退職手当等-退職所得控除」となります。
つまり2分の1が適用されません。
大きく変わったのは以上です。その他納期の特例の特例の廃止等有りますが、特に大きな影響は無いかと思われます。
また、相続税で少し変わった所が有りますがそれは税制改正(その2)でまた書きたいと思います。
基礎控除が変わった訳では有りませんので、大きな影響は無いかと思われます。ただ贈与に関しては住宅取得等資金の贈与の非課税の延長・増額(一定の場合)等多少影響が生じるものも有りますので、また近日中に書きます。